開発・設計・構築をやってきたシステムエンジニアであれば、設計書くらいは作ったことがあるでしょう。
基本設計書、詳細設計書、試験設計書、運用設計書、移行設計書などなど。
でもそんなもん人生においては何の役にも立たないというお話。
人生と設計書
設計書の役割
家を建てる時には、必ず建築士が引いた設計書に基づいて建てていくはずです。
プラモデルを作る時は、設計書に基づいて作成していくはずです。
システムも同じこと。
まずは設計書を作成し、その設計に基づき組み立てていく。
設計書がなかったらどんな形に作り上げればいいか?なんてわからないから。
でもね、設計書は全く無意味ではないと思うけど、そこまで精巧に作り上げる必要はないんじゃないかな?と常々思っている。
だって、今のシステム開発・構築のプロジェクトって、そんなにガチガチに作り込む時間なんてないから。
本来なら大規模のビル建設と同じこと、ミリ単位で精巧な設計書がシステム構築にも必要なんだと思う。
でも、システム構築って設計書通りになんかなかなか進まない。
たとえばよくある話が、通信要件一覧。
このシステムとこのシステムがやり取りするとき、ベンダー側が提供してきた情報を見るとこのポートが空いていれば通信できる。
その情報を鵜呑みにしてファイアウォールの設定をしているはずなのに、いざ試験フェーズに入ると通信が上手くいかない。
しかたなくWiresharkなんかを持ち出してきて調べてみると、なんか必要そうな通信がブロックされていることに気づく。
え?この通信にこのポート必要だったの?そんなん聞いてないし。
ってことで、通信一覧を書き直してファイアウォールの設定を変更する。
こんなことの繰り返しでシステム構築は進んでいく。
だから、最初にガチガチに決めたはずの設計書なんてあまり役に立たず、システム構成の変更やバグによる修正、考慮漏れなどで結局は設計書を何度も書き換える必要がある。
だから設計書って、製品を納品するときようやく仕上がってきたりすることもある。
本来あってはいけないことなんだろうけど、これが現実だから仕方ない。
人生の設計
人生も同じなんじゃないかな。
設計書を作る年齢は人によって何歳なのかはわからない。
でも、明確な人生の設計書なんて作ったところで、システムの設計書のように結局何度も作り直しになるだけ。
人生において設計書なんて役に立たないと思うんだ。
思えば自分の人生の設計書がボロボロに崩れだしたのは、いつの頃だっただろうか?
小学校の頃、プロ野球の選手を夢見てたことがあったが、あまりに自分の能力が足りずあっさりと挫折。
中学校の頃、1年生のころはそこそこ成績がよかったのに、おニャン子倶楽部(世代を感じるw)にどハマりしてしまい、成績は急降下。
中の上くらいの高校にいくのが精いっぱいだった。
高校の頃、とにかく楽しかった。
とにかく遊びまくっていた。
勉強とか将来とかどうでもよかった。
大学の頃、目標を見失い毎日パチンコに明け暮れる典型的なダメ大学生。
就活にも失敗し、転げ落ちるようにニートの道へ。
ニート生活に見切りをつけ、仕事を始めたがまさかのブラック企業。
ブラックから脱出しシステムエンジニアとして再生。
と同時に彼女ができたと思ったら、あっという間に子どもができてしまい、生活に追われる毎日になってしまった。
それからガムシャラに働いて、会社内でもそれなりの立場になってはきたが、これから先20年のビジョンが見えてこない。
それじゃ辞めちゃえばいいじゃん!と会社を辞めてしまった。
そしてフリーランスの道へ。
あれ?オレの人生の設計書こんなんだったっけ?
てかちゃんと設計書作り込んでないからこんな人生になったんだっけ?
でもね、これから先もどうなるかなんてわからない。
何がおこるかわからない人生なのに設計書なんて書いたところで何の意味もないですよ。
マネープランとか老後のプランとか
ファイナンシャルプランナーに相談するとたいそう立派な将来のマネープランを提示してくれる。
今のまま会社にいたら何歳で昇進して、何歳でこんくらいの年収に到達する。
子どもは何歳で高校に入り、何歳で大学に入り卒業する。
住宅ローンはこのくらいに払い終わり、年金はいくらくらい入る。
このプランでいくと30年後数万円足りない可能性があるから、この保険に加入しておきましょう。
って、お前オレの人生そこまで見えているのかww
まさに預言者のようなプランニングです。
こんなもの何の意味も持たないことは誰の目にも明確です。
今時どの企業で出世が約束されているんでしょうか?
どの企業なら年収が予想通りのカーブを描いていくのでしょうか?
子どもはみんな大学までいくのでしょうか?
住宅ローンは本当に払い終えることができるのでしょうか?
このプランにはリスクなんて全く含まれていないじゃないですか。
会社が倒産したり経営が不安定になったらどうするの?
家族の誰かが病気になったらどうするの?
子どもが海外に留学したいといったらどうするの?
将来なんてどうなるか誰にもわからない。
マネープランとか老後のプラン何て絵に描いた餅でしかないわけ。
行動力
何があってもなんとかする。
何があってもどうにかなる。
最悪の事態でもなんとかできる能力、それが行動力です。
会社の経営が不安になったら退職して別の仕事を探せばいい。
転職できないなら独立して事業を始めればいい。
プラン通りに事が進まないと不安になってしまう人は、行動力が圧倒的に足りません。
10年後どころか3年後の未来が想像できない人が30年も先のことを考えても仕方ないんです。
人生で大事なのは設計書を精度ではなく、何かあった時とっさに動ける行動力なんだと常々感じます。