転職を経験したことがない人は戸惑うことがあります。
それは、転職活動中と入社した後の扱いの違いです。
これを最初から認識しとかないと転職後に違和感を感じるはずですので、初めての転職という方はよく読んでおくことをお勧めします。
転職活動中と入社後の違い
〇〇様から〇〇さんそして・・・
転職活動を始めたシステムエンジニアの山田さん(仮名)。
山田さんは、20代後半からシステムエンジニアの仕事に就き10年以上の経験を積み上げ、現在は36歳。
スキルも経験も備わった脂の乗った年齢。
当然山田さんは、各社から引く手あまた状態。
転職フェアに行けば、山田様ぜひ我が社に入社してください!と引っ張りだこ。
転職サイトに登録すれば、スパムメールか!と思えるほどのスカウトの嵐。
あー、なんて幸せなんだ!
ここで転職して一気に年収を上げて成功するぞ!
と、あるIT関連企業のJ社への転職を決意。
その会社では当然のごとく好待遇で迎え入れてもらった。
そして入社初日。
これまで面接や入社後の手続きなど窓口になってもらった人事担当のAさんが受付で温かく迎えてくれた。
「山田さんJ社へようこそ。お待ちしておりました。」
山田さんは入社初日で緊張していたが、Aさんの配慮でどんどん緊張は和らいでいった。
「山田さん、直属の上司と部長を紹介します。」
Aさんは、山田さんを連れて上司と部長へあいさつ回りを始めた。
上司「山田さん、これから一緒に働くことになりました。これからもよろしく!」
部長「山田さん、J社へようこそ。我が社の事業発展のために協力してください!」
数日後、上司の計らいで山田さんの歓迎会が執り行われ、山田さんと初顔合わせのメンバーとの飲み会で大いに盛り上がることとなった。
そして1か月が経過。
山田さんはあるプロジェクトに配属されることになる。
前職のスキルを買われ、いきなハイレベルの業務を任されることに。
ところが、山田さんのこれまでのスキルとは似通ってはいるが、今までやってきた業務とはちょっと毛色が違う。
経験もスキルもあるのだが、業務のやり方に馴染めず戸惑う山田さん。
2か月後、思ったような成果が出ない山田さんに対して上司は・・・
「山田くん、お願いしてた資料どうなってるの?」
山田さんは焦り始める。
なんとか時間までに形にしないと、焦る山田さんの仕事は空回りし始める。
上司が期待しているアウトプットが出ず、ちょっとイラつき始める上司。
「山田ちゃんさぁ~、こんな資料じゃお客様に提出できないよ!前の会社でこんな程度しかできなかったの?そろそろ本気出してくれよ!」
てな感じの地味ぃ~なイヤミも出始めるようになる。
そして6か月も経過すると・・・
「おい山田!さっさと資料提出しろ!」
いつのまにか敬称は省略されていくことになる。
お客様からイチ社員へ
転職前は、お客様扱いでしかもIT業界の経験豊富なエンジニアはVIP待遇なのです。
各社人材の奪い合い!
少しくらいチヤホヤしてでも来てほしい。
人事担当者は、満面の笑顔でそれこそ王様を接待するかのように腫れ物に触るような扱いをしてくれます。
ですが、転職が決まり、いざ入社が決まるとその時点からイチ社員でしかありません。
1000人いる会社に転職したのであれば、1000分の1の存在でしかない。
入社した以上、会社のルールに従ってもらわないといけないし、会社の方針に従ってもらわないといけない。
もちろん上司のやり方に従ってもらう必要がある。
さらに一番戸惑うのは、王様のように扱ってくれた人事担当のAさんが、入社したと同時に上司になるということ。
あれだけえびす顔で接してくれたAさんが、一番面倒くさい上司へと変貌するのです。
このギャップが初めての転職だとなかなか馴染めないものなのです。
だからこそ、転職すると決めた時から転職後の姿を想像しておくことをお勧めします。
おそらく、今所属している会社にも人事担当の上司がいるでしょう。
その人は究極の二重人格なはずです。
転職志望者を面接で迎え入れるえびす顔と、入社後のイチ社員を咎めるエンマ顔。
これを巧みに使い分けられるのが人事担当者。
その姿を転職後の自分に重ね合わせてみましょう。
え?オレこの会社に請われて入社したはずなのに?
ぜひ、お願いだから入社してくれって頼まれたはずなのに?
入社した途端ほかの人と同じ扱い?
特別待遇とかないの?
ってあるわけないんです。
周りと一緒それが当たり前。
入社してしまえば単なるイチ社員。
転職前の扱いと転職後の扱いは天と地ほど違う。
これだけは、転職前にしっかりと理解しておきましょう。