労働基準法を守ると利益が下がるような会社はブラック企業だ!
的な意見があるようですが、まぁ確かにそうなんだけどね。
でもそれを言ってしまうと、IT系の客先常駐型の人材サービス会社は全部ブラック企業になっちゃうんだよね。
「労働基準法を守ってたら利益効率が落ちる!」というのは、スポーツで「ルールを守ってたら俺たちが勝てない!」というのと同じ。
— たくろふ (@takutsubu) 2018年10月24日
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目次
IT系の客先常駐型会社
客先常駐型の特徴
客先常駐型のIT系会社は、見た目はIT企業ですがハッキリ言って派遣会社です。
事務とかコールセンターの仕事を派遣するのではなく、システムエンジニアに特化した派遣業。
この手の会社は、一昔前の特定派遣と呼ばれるタイプなので、基本社員は大体正社員。
正社員だけど自分の会社ではなく、大手のSIerとか中小の開発会社に出勤してそこで勤務するスタイルです。
客先常駐型の売り上げは、社員が客先に出ていく、その分の契約金をもらう、その契約金と社員の給料の差がいわゆる粗利益という形になります。
客先常駐型の契約タイプ
常駐スタイルには以下のタイプがあります。
- 請負契約
- SES(準委任)契約
- 派遣契約
請負は、開発などの案件を受注して、業務自体は客先に出向いて開発を行うスタイル。
請負なので成果物に責任を持つ必要があり、バグがあれば瑕疵対応しなきゃいけません。
SES契約は、客先に常駐するのは一緒ですが成果物に責任を持つことはない。
その分報告書の提出が必要。
派遣契約はそのまんま客先に常駐して仕事をする。
SESとの違いは指揮系統。
SESは、業務の指示は客先にはありませんが、派遣の場合は客先の指示を受けて仕事をする。
で、今回のテーマで重要なのはお金に関する契約。
派遣でもSESでも、お金に関する契約形態は以下の3つが多くなっています。
- 時給契約
- 時間縛り契約
- 固定契約
1の時給というのはそのまんま。
1時間働いたら4000円、1か月160時間働いたら640,000円。
当然1か月の稼働が少なければ売り上げは下がり、多ければ増える。
先の3の固定契約を説明しますが、これは何時間働いても一か月60万円のように固定金額のタイプです。
最後の2ですが、これはちょっとややこしい。
基本の契約は1か月60万円としますが、60万円で契約する時間は140時間から190時間という形で契約するタイプです。
休みが多く1か月の稼働時間が140時間を下回ればその分減額され、逆に稼働数が多く180時間を上回れて追加料金がもらえるスタイルとなります。
客先常駐型のIT会社は、みんなこんな契約をしているから労働基準法通りにやると利益が下がってしまうんです。
なぜ客先常駐型のIT会社は労基法で利益が下がるのか?
まず労基法通りガンガン取られると困るのは有給休暇です。
日本は有給休暇の取得率が悪い!
てな風潮から来年から年間5日、有給休暇の取得が義務付けられますが、中小の客先常駐型の会社にとってはかなりの痛手。
だって休めば休むほど売り上げは下がり、利益も下がってしまうんですから。
時給4千円のの人が1日休むと3万2千円売り上げが下がります。
それが10人いたら、100人いたら、200人いたら・・・
休めば休むほど売り上げは下がる一方です。
有給休暇の1年のMAXは20日、それを毎年全クリアするとほぼ1か月丸っと休むことになりますが、MAX休んだら年間60万円以上売り上げが落ちる。
それが10人いたら、100人いたら・・・・(ry
でもそれは時給契約だからダメなんじゃない?
3の固定契約を増やせばいくら休んでも売り上げ減らないじゃん。
と思うかもしれませんが、固定契約の場合今度は残業代が利益を圧迫するのです。
固定契約というのは、あくまでもお客と結んでいる契約。
自分の会社の社員が、法定労働時間を超えて労働をしたら残業代は支払わなければいけません。
例えば月給30万円の人が50万円固定で契約した場合、残業ナシなら粗利は20万円ですが、残業代が10万円とかになってしまうと利益は10万円。
固定にも時給にも良い点と悪い点があるのです。
利益をキープするために悪い企業がすることは?
客先常駐型のIT会社は、労働基準法をキッチリ守れば利益率は下がります。
そこで、中には労働基準法を逆に利用して利益を確保しようとする会社もあります。
今まで聞いた中でもっともヒデーなと思うやり方は、有給休暇の計画的付与を利用した方法。
有給休暇って原則労働者が取りたい日に取ることができるんですが、実は5日を超える部分は会社が指定した日に休ませることができるんです。
20日間有給がある場合には、15日は会社が指定した日に有給を取らせることができるという制度です。
つまり会社が勝手に休みを決めてしまうということ。
これって別に普通の日に休みを増やしてくれるのであれば、特段悪いことではありません。
ですが、普段は休みのはずの土曜日に計画的付与をぶっこんで来る会社があるそうです。
例えば月曜日が祝日の日の土曜日に計画的付与を入れて、その日に有給休暇を消化してしまおうというやり方。
普通に土曜日は休みの日なのに、無理くり有給を使われてしまうという、ちょっとあり得ないやり方です。
しかもこれえげつないのが全く違法じゃないってこと。
ある意味労働基準法通りっちゃそうなんですが、いい制度を悪用されている悪い例です。
ほかにはメジャーなのは、残業代を払わないように給料も固定にしてしまというやり方ですね。
これは管理職待遇にして残業代を抑制しようという手法なんですが、これはグレーではなくブラック。
一昔前は、残業代を抑制するために大半の社員を取締役にしてしまった!という例もあるそうですが、管理職という制度を悪用した形です。
ここまで紹介したようなスタイルをとってくる会社は、ほぼブラック間違いなしなので、早めに転職することをお勧めします。
まとめ
ちなみに前述したのは、あくまでも悪用しているよくない会社の例です。
多くの客先常駐型のIT会社は、労働基準法の範囲の中でしっかりと経営しています。
もちろん中小企業だって労働基準法は守らなければいけない。
守れないのなら日本で会社をやる資格がない。
ただ、労働基準法というのは、そもそも昭和22年に工場労働者向けにの法律をベースに作成された古い制度が今なお残っている法律です。
今のままの古いままの労働基準法では、中小企業・・・いや大企業に大きな負担をかけているのも事実です。
労基法を守ると利益が下がるのはブラックだ!というのは、正しくもありそうでない面もあるんじゃないですかね。
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