今、ITエンジニアは空前の売り手市場。
取る側からすれば人を奪い合うサバイバル状態。
取られる側からすれば、何にもしなくてもドンドン値が上がるバブル状態。
でもね、年収ってあんまり欲張って上げ過ぎると、転職後けっこう苦労するので注意した方がイイですよ。
たまに今の年収から100万円アップとか要求しちゃう人もいるけど、本当に大丈夫なんですか?
年収を欲張るとどうなるか?
年収を150万円引き上げたエンジニアの話
以前年収420万円から一気に600万円へとジャンプアップに成功したエンジニアがいました。
彼は大学卒業後、CADのオペレータなどをやっていたそうですが、数年で転職してIT業界へ。
当時はまだ日本でスタンダードになっていなかったLinuxでのサーバ構築や、ネットワーク、DB、プログラミングなどすべてのスキルを兼ね備えたパーフェクトヒューマンだったため、600万円はむしろ安いくらいだ!
と思われていたんですが・・・
周囲の期待とはウラハラに彼は転職後大いに苦しむことになる。
スキル、知識、経験は確かに素晴らしい人物だが、元来オタクだった彼はマネジメントどころか人との付き合いがあまり上手くない。
でも、転職先で求められた立場は、技術部の統括部長。
今までのようにただカタカタとキーボードを叩いているだけじゃダメ。
資料も作ればプレゼンもやる。
見積もりもとれば客先との営業にも付き添わなければならない。
それでいて技術面も当然求められる。
日を重ねるごとに段々とプレッシャーがのしかかり、ストレスが増幅していく。
体重は減り会社も休みがちになっていった。
毎日毎日社長からは容赦ない圧力がかけられる!
「高い金払ってるんだからそれだけの事やってくれよ!」
結局彼は3年後自ら役職を降りて、減給を受け入れて、今まで通りの気楽なエンジニアライフに戻っていった。
適正年収を知る
今貰っている年収が明らかに低い場合は、引き上げ交渉をすべきです。
所属会社のピンハネ率が高すぎて、スズメの涙程度の給料しか残らない。
こんな会社に未来はない!
そんな人は積極的に高収入を求めて動いてください。
ですが、現状の自分の給与が自身のスキルに見合った給料であれば、無理して上げ過ぎようとすると痛い目を見ます。
先日、社内の情報システム部の仕事をしていた32歳のエンジニアが、これからはネットワークエンジニアとして生きていきたい!
年収は現在380万円程度ですが450万円を希望します!という人を見かけました。
情報システム部で行っていた業務は、PCのキッティングとか業務アプリの管理程度らしく、ネットワークの知識はほとんどない。
ネットワークに興味があるからネットワークエンジニア志望・・・それで年収70万円以上アップ?
それはさすがに無茶すぎます。
自分が積み上げてきた実績に上乗せするのであれば、それくらい盛っても十分ですが、全くスキルが足りないのに給与だけ引き上げるのは自爆行為と思った方がイイです。
まずは己を知り、自分の価値・価格を見つめなおしてから給与交渉に臨みましょう。
給料を上げるということは
今よりも給料を上げる。
ということは、今よりも高いレベルの仕事が求められるということです。
今運用保守で年収400万円もらってる。
今後は設計・構築に進みたい。
だから年収も500万円ほしい。
となれば、500万円支払うだけの仕事をしてもらわないと転職先もあなたの給与を引き上げた価値がないんです。
年収を上げたいという気持ちもわかりますが、上げれば上げるだけ求められるアウトプットの質は高まり、プレッシャーは右肩上がりで上がっていきます。
そのレベルに自分をアジャストできる自信があるという人は、ガンガン年収アップを求めて動きましょう。
いやそんなに期待されても・・・
今の仕事の平行線でイイんだけど・・・
と思う人は、現状年収の1割アップ程度が最も適正な年収増の金額です。
無理せず自分の身の丈にあった転職先を探さないと失敗を繰り返すだけですよ。