同じ中小企業に勤めていた同僚というか部下のOくんが、そこそこ名の知れた大企業の子会社に転職しました。
中小企業に勤めている身からすると大企業っていいなぁと思う気持ちもあるんですが、Oくんからは意外な言葉が・・・
「転職してからスキルは上がるどころから一気に落ちましたね。年収は以前よりは上がりましたが、それほどでもありません。」
年収に関しては、大企業の子会社なんでそんなもんでしょうね。
それよりもスキルが落ちてしまったということが大問題です。
なぜ大企業に転職するとスキルは落ちてしまうのでしょうか?
大企業に転職するとエンジニアスキルは落ちる
中小企業の方がスキルが伸びる
大企業の子会社に転職したOくんは、以前所属していた会社では情報システム部の仕事をほぼ一人で回していた凄腕です。
各種サーバ構築、研修センターのNW構築、各種社内システム構築など上司からの無茶ぶりにも耐え黙々とこなしていました。
本来の業務だけでなく、人がいないからいろんな業務がスキルの高い人材に集中してしまう。
人材難の中小企業にありがちなパターンです。
ブラック企業とも言えなくもありませんが、あらゆる業務を経験できることはエンジニアのスキルアップという観点では好条件なのかもしれません。
中小企業は、実際に自分自身が手を動かさなければイケませんので、自然とエンジニアのスキルは上がっていくんです。
大企業のSEは何をするのか?
なぜ大企業に転職するとエンジニアとしてのスキルが伸びないのか?
大企業のエンジニアの仕事って、ほとんどが調整業務なんです。
大企業では、新卒のエンジニアをプロジェクトマネージャ(PM)として育成します。
PMっていうのはシステムの要件を詰めたり、仕様を決めたり、予算を確保したり、スケジュールを調整したり、体制を整えたりというのがメインのお仕事です。
世間一般の転職市場では、このPMの方が価値が高く、高収入を狙うのならPMの方がイイかもしれません。
ですが、現実の会社ではそれほどでもないんですね。
PMっていうと聞こえはいいですが、結局のところ日々見積もりを作ったり、システム障害が発生した時の報告書を作成したり、面倒くらいクセの強いパートナー企業のシステムエンジニアをなだめたり。
そんな雑用みたいな仕事任されるのが大企業のシステムエンジニアなのです。
中小企業では、そんな調整後ともやりながら自身でシステム構築をしたりトラブルシューティングをしなきゃいけないんですが、大企業では役割分担が明確になってますので、下流の仕事まで手を出しません。
だから大企業のエンジニアはドンドン腕が鈍っていくのです。
飼い殺し状態
大企業のエンジニアになってしまうと、飼い殺し状態となってしまう危険があります。
PMの仕事ってどんな会社に行っても万能なスキルではありません。
- 会社独自のプロジェクト
- 仕様書の書き方
- 要件定義の手法
- 報告書の書き方
- 社内申請のルール
- 社内規定
大企業に入ってしまうと、その会社でだけ通用する能力しか身につかないんです。
その会社だけでしか通用しないスキルしか身につかないから、もはや他社に転職することは困難になってしまいます。
実際大企業の子会社の同世代の人を何人も知っていますが、人柄や仕事能力は評価できますが、どこに行っても活躍できるような人材はほとんどいません。
一度大企業の子会社でも入社してしまうと、そこから中小企業に転職することは都落ち的感覚になり受け入れることができません。
てことは、大企業で飼い殺し状態となってしまったらもはや転職することは出来ないということです。
大企業への転職は成功するのか?
冒頭で紹介したOくんは会社での仕事には一切不満がなかったらしく、むしろスキルがつくからもっと残っていたかったんだとか。
とはいえ、いくらなんでも会社の先行きが不安で将来が不安過ぎる。
という理由で30代前半で大企業の子会社に転職しました。
大企業の子会社に転職して数年経ちましたが、今になって思うと不安は中小企業にいたころより大きくなっているんだそうです。
このままじゃ飼い殺し状態となってしまう。
スキルがどんどん錆びついてしまっているのに、もし会社からリストラ宣告されたらこの先生きていけるのだろうか?家族を養っていけるのだろうか?
そんな不安を抱えながら毎日大企業の子会社にしがみつくことだけを考えているんだそうです。
システムエンジニアという仕事は、10年経っても20年経っても、50になっても60になっても出来る仕事です。
ですが、スキルがないエンジニアはいつまでも仕事を取り続けることは出来ません。
ただ、大企業だからという理由で転職先を決めてしまって本当にイイんですか?
ネームバリューだけで転職先を決めてしまったら、数年後後悔するかもしれませんよ。