運用設計って何?【システム構築に必須の運用設計を徹底解説】

運用設計って何だかご存じですか?

運用設計は、その名の通り運用の設計なんですが、運用設計って何なのか?どんなスキルが必要なのか?

実状はあまり知られていないと思います。

ここでは、システム構築に必須な運用設計とは何か?にスポットを充てて解説してみます。

運用設計

運用設計とは?

運用設計は、構築されたシステムをどのように運用していくのか?

システム運用の方針を決定するモノで、国で言えば憲法、会社でいえば就業規則を決めるような大事な工程です。

ピカタロウ

運用設計が固まっていないシステムは、運用を担当するエンジニアに大きな負荷をかけることになります。

あいまいな設計をしてしまうと無駄なコストの垂れ流しになってしまうなど、地味ですが重要な工程です。

運用設計は実際どんなコトをするのか?

運用設計では、以下のような作業を実施します。

  1. 方針決定
  2. 運用設計書作成
  3. 運用フロー策定
  4. 運用手順書作成

特に重要なのが1の方針決定です。

顧客とのサービスレベルを合意するSLAやデータベースの復旧時間や復旧時点を決めるRTO、RPOなどのレベルを事前に決めておかないと運用設計が前に進みません。

方針を顧客やシステム設計開発担当者と交渉しながら確定していき、その方針に従い運用設計書の作成や運用フローの作成に取り掛かります

運用設計書は、大規模なシステムだと200ページ以上にわたる大作になることもあります。

運用設計の工程

運用設計はどのような工程で進んでいくのか?

システム開発・構築は以下のような工程で進んでいきます。

通常の工程は、設計が終わったら製造・構築のように進んでいくのですが、運用設計は以下のようにシステム設計当初から運用が始まるまで長く携わることが多いのも1つの特徴です。

MEMO

運用設計は、システムの設計思想を理解し、運用の体制や運用者のスキルなどを理解している人じゃないと上手くいきません。

そのためプロジェクトの立ち上がりから最後まで見届ける人が担当することが多くなります。

運用設計に必要なスキル

運用設計をするには以下の2つのスキルが必要です。

  1. システム設計・構築
  2. システム運用

システム運用を設計するためには、どのような設計で構築されているか?を全く知らない人では難しく、またどのように運用していくか?運用の経験がないとこれまた難しい。

ピカタロウ

ですので、運用設計をする人はある程度構築から運用まで幅広い経験を持っている人がベストです。

ですが、運用設計をするにはもっと重要なスキルが必要です。もっと重要なスキルとは・・・

調整能力です!

運用設計者は、顧客・開発、構築担当者・運用者の3者に挟まれる板挟みになる難しい立場の仕事です

顧客と開発者と運用担当者の間を行き来しながら、全員の意見を取りまとめて不時着させる調整力こそが運用設計担当者の必須スキルなのです。

運用設計は専任者が担当するのか?

大規模なシステム構築の場合、運用設計は専任の担当者が実施します

前述したように大規模システムだと書籍のような運用設計書を作成する必要がありますし、運用フローだけでも膨大な数になります。

ですが、小規模のシステムの場合は、システム開発者やインフラ構築担当者が運用設計も兼任するケースが多くなります

ピカタロウ

場合によっては運用設計だけを他のベンダーに委託することもありますが、一般的にはプロジェクト内で兼任してしまうことの方が多いようです。

運用設計スキルがあると転職に有利なのか?

運用設計スキルを身に着けると転職活動で有利になるのか?

ぶっちゃけますが・・・微妙ですw

その理由はこんな感じです。

  1. 需要が高くない
  2. システム設計とは違う
  3. スキルが身につかない

1.需要が高くない

運用設計を専任で実施するプロジェクトってそんなに多くありません。

フリーランスエンジニア専門サイト:レバテックフリーランスでも運用設計の案件ってほとんど紹介がありませんので、運用設計だけしかできないというのはちょっと厳しいのが現実です。

2.システム設計とは違う

上流工程と呼ばれるシステムの設計を経験しているエンジニアの価値は非常に高くなりますが、運用設計はシステム設計の経験者とは見られないケースが多いようです。

ピカタロウ

経験年数が浅い頃にあるプロジェクトの面談に行きました。

そこで、「設計を担当したことはありますか?」という質問に対して「運用設計なら経験あります」と回答したら、すごくビミョーな顔をされたことを覚えています。

運用設計は上流工程の経験者とは見られないケースが多いのです

3.スキルが身につかない

運用設計者は、実際のシステムを設計・構築することはありませんし、コードを書くこともなければコマンドを叩くこともありません。

総合的な知識とスキルは身に付きますが、エンジニアのコアとなる部分のスキルが身につかないんです

 

このような理由から運用設計スキルが転職市場で高く評価されるコトはあまり期待できません

運用保守から運用設計へ

運用設計のスキルは転職市場などでも高評価を受けるのは難しいかもしれませんが、単純な運用保守工程から一歩上の上流エンジニアになるためには、一度運用設計の経験はしておくことをおススメします

ITILなどの有効性も理解できますし、運用保守だけでは身につかない調整能力も身に付きます。

システム設計・構築から運用まで幅広く知識を身に着けられる運用設計スキルは、エンジニアとしての将来に必ず役に立つはずです。